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敬語の使い方がみだれてお客さまを不快にさせています

尊敬語は見られている時だけ? テレビを見て感じた疑問

 先日ニュース番組を見ておりましたら、日本航空の経営破綻で地方空港に日航便が飛ばなくなる話がありました。そのインタビューに出た温泉旅館の女将のコメントに耳を疑いました。「ここまで飛行機が飛ばなくなると困ります。はどうして来たら良いのか…」。老境に入ったと見える女将の言葉に唖然、呆然、がく然。この温泉は一度訪ねたいと思っていた矢先でしたので、なにか失望してしまいました。

 「客」は「お客さま」でしょう。お客さまは神さまと言う方までおられるのに。「どうして来たら」は、「どうお越しになったら」または、「どのようにおいでになったら」「どういらっしゃったら」ではないでしょうか。見えないところでは「客」と呼び、尊敬語は見られている時だけとは、なんとも味気ない話です。

敬語には尊敬語、謙譲語、丁寧語、美化語の4つがある

 美容業は接客業です。ご存知の方も多いと思いますが、敬語には普通、尊敬語、謙譲語、丁寧語の3つがありますが、最近では美化語も含めて4つといわれています。
 尊敬語は相手に対して「お」「ご」をつけて敬意を表します。「お客さま」「お髪・おぐし」「お背中」など。また、相手と同一化したものへも使います。「ご主人」「お子さま」「お嬢さま」など。美化語になると相手が持っているものまで「お」「ご」をつけます。「お野菜」「お大根」「お車」などですが、何故か「自転車」と「ごぼう」などには「お」は省かれます。
 また、外来語には基本的に「お」「ご」をつけません。「おリング」「おウイスキー」「おシャーベット」とは言わないでしょう。

国会議員の敬語もお粗末 これでは政治も良くならない

 国会中継を見ていたときです。野党の代表質問で「ただいま総理が申したことですが…」と胸を張ったおじさん議員の質問を聴いていて、こんな程度の敬語しか使えない輩が代議士だから政治が良くならないと確信しました。

 「申す」「参る」「伺う」などは自分が相手にへりくだって使う謙譲語です。「申していた」は「お話しされた」「おっしゃられた」ではないでしょうか。
 この方は長らく官僚を勤め、派閥の長にもなり、人を見下すことに慣れているのでしょう。中継中も大臣を名字で呼び捨てにしていました。

気をつけたいのは謙譲語 お客さまに「先生」?

 美容室で気をつけたいのが謙譲語です。お客さまの来店のときに「○○さまが参られました」という言葉を耳にしたことがあります。これは「○○さまがいらっしゃいました」「○○さまがお見えになりました」と尊敬語を使うべきです。これでは前述の代議士なみです。謙譲語は自分たちがへりくだるのですから。

 また、私が美容室を訪問したときに「先生が、ただいま、いらっしゃいますので、こちらでお待ちください」と言ったスタッフがいました。  スタッフにとっては「先生」かも知れませんが、お客さまや訪問者の私には関係のないことです。「先生」とは「先に生まれた人」「先ず生きている人」位にしか思えません。相手を立てるのには「店主○○」で呼び捨てが当たり前です。その上、店主は身内ですから「ただいま参ります」、または「ただいま伺います」が当然です。スタッフには、店主の教育程度がそのまま表れますから恐いものです。

謙譲語は「お(ご)~する」 丁寧語は「~です」など

 謙譲語をうまく使うには「お(ご)~する」「お(ご)~いたす」「お(ご)~できる」「お(ご)~させていただく」などがあります。「お待ちします」「お待ちいたしております」「ご説明させていただきます」などと使います。
 丁寧語は「~です」「~ます」などです。尊敬語や謙譲語につなげて使います。美容業は接客業です。敬語をうまく使う美容師が勝ちです。

 これは、新聞や女性雑誌にも頻繁に掲載されている美容室でのできごとですからご存知の方も多いと思いますが、私が40代の主婦から直接聞いたお話です。
 その女性の前髪が伸びてきてまつげにかかってうっとうしいのでカットをしたくて、近所の安売りサロンへ行った時の話です。

 鏡の前に案内されると、美容師は「どれ位、カットしたらいいの?」。「前髪だけうっとうしいのでカットしてください。他はいいです」。すると「前髪だけでいいの? サイドは? ネープは? 伸ばすの?」。「前髪だけでいいです」。「なら、自分で切ったら良いのに」。
 それで女性は「でも、プロの方に切っていただけたら格好良くなると思って」と言うと、「前髪だけなら同じだよ。しょうがねえな」と言いながら前髪をちょこっと切ると、後ろも切ろうとするので、「すいません。後ろは結構です」と断わったそうです。

 すると美容師は、「ゲッ!後ろはいいの? 前だけカットしても、後ろをカットしても値段は同じだよ」。「これで結構です」と言うと、美容師は「あっそう」。そして椅子を回すとフロントを指して「どうぞ」ですと。

 鏡に映して「これでよろしいでしょうか」もなければ、「ありがとうございます」もなし。フロントに「カットだけ!」と怒鳴るように言って、プイっと行ってしまったそうです。

敬語のない美容師の話し方で店には来ないという誓いも

 担当美容師の年齢は30歳くらい、客を客とも思わない対応。まったく敬語を使わない話し方。自分の方が気を使って馬鹿みたい。2度とこの店には来ないと誓ったという話です。

 もっと恐いのは、この話を15人ばかりの席で話したことで、「あの美容室には行かないほうがいいわよ」という宣伝つきです。そのうえ、「私も懲りたことがあるのよ」とうなずく人まで出る始末。
 これではいくらチラシをポストに入れて回っても、新聞に折り込み広告を入れても、後から後から評判を悪くして、駄目サロンのレッテルを貼られてしまいます。「若い人は敬語の使い方を知らない」だけでは済ませられない現状です。

まずは経営者が敬語を使うことから始めて

 かつて、美容インストラクターを指導してまいりました経験から、話し方の指導次第で若い人たちはドンドン話し方がうまくなります。それにはまず、ご自分が敬語を駆使することです。そして「やって見せ、やらせてみせ、直してやり、誉めてやらねば人は動かぬ」と山本五十六語録の指すところが、指導の根源だと思います。

 サロンの店内一丸となって敬語を使いましょう。この教育で超一流サロンといわれる高級サロンが日本にはあります。誰でもいつでもチャレンジできます。この不況こそチャレンジのチャンスです。

文/菊島延佶(オフィス キクシマ)

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