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なぜ流行るサロンと消えるサロンができるのでしょうか

あなたの美容室の「売り物」がわかりますか?

 最近、美容室を訪問して感じることは、流行る美容室には「売り物」が明確にあり、お客さまの立場から「買いたいものが売られている」ということです。逆に流行らない美容室には「お客さまが買いたいものがない」のです。

 「最近は不景気だからお客が少なくて…」「物価も上がっているし買い控え…」などの愚痴は全くの言い訳にすぎません。

では何が売り物なのか?

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 あるオーナーは「お客さまが求めているのは自分に似合うヘアデザインです」とのお話。この美容室では「貴方だけのヘアデザインを探しましょう」ということをテーマにしているそうです。

 また、別のオーナーは「お客さまのご注文を何でもこなせるメニュー作りが大切と考えます。カットだけでも20種類あるんですよ」と。ここでは来店されるたびに「こんなこともできる」と喜んでいただけることが大切と考えているそうです。

 別のあるオーナーは「好感を感じていただける接客です。あいさつ、返事、掃除、身だしなみ、言葉づかいとご希望をうかがう会話です」と。そこでは「お客さまにどんな質問をするかスタッフに朝礼で目標を発表してもらっています」と話していました。

 これらの3店に共通する「売り物」は、お客さまとの「ヒアリング:傾聴する」を徹底することにあるようです。料金表に書かれていない付加価値の部分が売り物です。

ではヒアリングって何?

 3店の美容室がいう「ヒアリング」とはお客さまの「ご不満」や「お困り」「お悩み」を傾聴(耳をすませて本音をうかがう)して、その問題を解決することです。

 最初に「ヘアスタイルにご不満はございませんか?」とうかがうと「ぎょっ!」としていたお客さまもだんだん慣れると、2つも3つも「お困り」や「ご不満」の箇所を指摘されますので、私たちも具体的にどうしたら改善できるか提案できます。

 また、慣れてこられると、こちらの提案も良く聞いていただけます。何でも話せる店だと喜んでいただいております。これが私たちの「売り物」ですとのお話でした。ここに繁盛のポイントがありそうです。

 10分間1000円のカットサロンが駅前にたくさんできています。ここでは、椅子に座ると「何センチ切りますか」「どのくらい短くしましょうか」と聞かれます。ヘアスタイルに関係なく短時間に「短くカットするだけ」で「さっぱりした」が売り物です。

 確かに短くするだけで満足する方には便利なサロンです。でも「自分に似合うデザイン」を求めて、さらに「美しくなりたい」「かわいくなりたい」「若返りたい」「違う自分になりたい」とか、「くつろぎたい」「癒されたい」などを「買い」にみえるお客さまには満足は与えられません。そういうお客さまは「それを売っている美容室」に集中することになります。

カット客が激減している今は何を売るか

 顧客の年齢が40代を越えた人たちが60%以上になってきました。まさに美容室も高齢化社会に飲み込まれています。この中には団塊の世代(60代前半)、団塊ジュニア(40代前半)といわれ、人口も第1位と第2位で、日本の消費を背負ってきた人たちが含まれています。

 この世代はワンストップショッピングが大好きです。ヘアもフェイシャルもネイルもメイクも一箇所でやりたいと希望する人たちが多いのです。若者世代のようにあっちこっちを走り回りません。

 したがってよく言われる「何でもできる美容師」が求められています。キャリア15〜30年の美容師がモテモテです。今は幅広い技術修得力と、よく売れるメニューを工夫できて、流行の変化に対応できる柔軟な美容師の出番であることは間違いないようです。

 中でも男性美容師はカット狂いで、若者客狙いですが、女性美容師は余りカットにこだわりがないのも幸いして、中高年女性に人気があります。男性客はお断りの「女性専科」がどこでも流行っています。気がおけなくて良いと好評です。女性客は、特に60歳を過ぎるころから「女がえり」して男性の武骨な手を嫌がると聞きます。

ベテラン並みに売り上げるビューティシャン

  美容室の中にエステメニューを主体とするスペースがあったり、エステサロンの中に美容室を作る時代になりました。私が美容界に入った40年前には、美容室内にフェイシャルルームや着付ルーム、マニキュアテーブルがあって当たり前でした。フェイシャルやネイルなどが美容室から分離して30数年を経過しました。最近では新人美容師をシャンプーやワインディング、ヘアカラー塗布などに「アシスタント」として使わなくなりました。

 助手は多メニュー時代にはあわないということのようです。したがって早く売上に結びつけられ、教育に時間のかからないフェイシャル、ネイル、メイク、ハンドケアなどを先に教育しています。これらの技術は1カ月程度の教育で接客できると聞きます。

 あるサロンでは「ビューティシャン」と呼ばれ、指名も付き、ベテラン美容師並の売上を稼いでいます。カットなどの教育が済む1年後には「カットデビュー」させても、顧客とのスキンシップができているので、順調に指名がつくそうです。

 今は「美容師」の免許を持参して入社する時代です。すぐ売上が見込める仕事から始めてもらわなくては経営も大変です。「アシスタント・助手」ではお荷物になるだけ。教育の仕方や順序も再構築したいものです。中途半端なカットに寡占化されたメニューのサロンは、今後も経営が厳しく消えてゆく運命のようです。

価格は消費者の必要からつけられる

 2〜3年前に流行った言葉に「自分にご褒美を」というのがありました。今はそれが当たり前になっています。特に美容は贅沢業の部分も大いにあり、その料金には、「似合うヘアデザイン」やら「癒されて元気になる」やら「快感の接客」など付加価値の部分が多く含まれております。

 従って「ヘアスタイル」も商売道具になる人たち(キャバクラ嬢など)、最高の「オシャレ」を楽しみたい人たち、病気で自分の頭を洗えない人や、ガンでカツラを利用したいなどで、美容室が必要な人たち、「身だしなみ」として利用する人たちなど—。所得や職業事情による価値を考える必要があります。

 また、仕事やキャリアに応じた価格も勘案することも必要です。カットデビューしたばかりの技術者と10年、20年のベテランが同じ料金では、同じ給与しか払えません。一物一価の法則は美容師の給与が伸びない原因の一つなのではないでしょうか。

 その他、その料金しかつけられない店格(オーナー、スタッフの技術の程度や人格、接客、設備、立地条件)があります。また、「良いものを安く」が消費の原則ですが、高くても「もっと良いもの」ならば売れます。最近は、所得の二極分化を反映し、高級化粧品がたくさん売りだされています。

 周りの店がいくらだから、当店もいくらでは情けなくなります。よく見かけるチラシの中に2〜3人体制でオープンして、初回の価格は全メニュー3〜5割引という馬鹿な設定をするオーナーがいます。前に来店した時よりも次回の料金が高くなれば、よほど満足しない限り顧客はいつか消えます。

 小型店の無理な安売りは巨大チェーン店と違い、半年以内に閉店するところも多く見かけます。自店のメニュー表をご覧になりながら、価格をもう一度見直す必要があると思うのです。

鉄則は「メニューにないものは売れない」

 新しいメニューを提案するのが美容業の役目です。ニーズはお客さまが持っています「ヒアリング」でうかがって下さい。カットでも10〜15メニュー、パーマが10〜20メニューなどなど。カット、パーマ、カラーを横型に並べないで、縦型のメニューにすることです。これは「美容室が技術を幅広く勉強している」証拠になります。

 あなたが消費者になった時、「古いもの」「時代遅れのもの」「いつも変わらない新しみのないもの」を売っている店で買い物をするでしょうか。
するとしたらよほどのピンボケ人間というところでしょう。美容師がそれで良いのでしょうか。

「たまたまサロン」から「わざわざサロン」へ

 安い料金のサロンを探して右往左往している顧客は、どの店でも「たまたまサロン」となり、よほど感激がないと固定化しません。ところが、「自分にご褒美を探している」人たちは、オーナーやスタッフに技術力やデザイン力、接客力、人間力があれば「たまたま入ったサロン」も「わざわざ行くサロン」に変わるのです。

 しかもこの人たちは価格にはこだわりません。「自分が思った通り」になれば大満足します。若く見えるカット、顔の欠点が隠れるカット、サラサラ髪のパーマ、大きなカールが長持ちするパーマ、しつとり仕上がるヘアカラー、肌の艶が蘇るフェイシャル、爪の健康が保てるネイル、発毛を促すヘッドスパなど。

 本格的に「こだわり」を売り物にする「お客さまイチ押し」の名店になっていただきたいものです。

文/菊島延佶(オフィス キクシマ)

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