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なぜ高料金がいただけないサロンが多いのでしょうか

汚い格好にお金を払うのも嫌という女性は多い

 帽子をかぶって無精ヒゲをはやし、擦り切れたジーパンに汚れたスニーカー、ヨレヨレのシャツ。これではどんなに良い仕事をしても高い料金を払う気がしない。街にたむろするホームレス同様で不潔感しかない美容師にいくらの値段をお客さまがつけられるか、訊いたことがあるでしょうか。法外な金額なら2度と来店しないでしょう。

 ある女性が「ディスカウントサロンに行くとカット&ブローで2950円なの。他の○○サロンは6300円。仕事はうまいと思うけど、着ているものが黒っぽくって汗臭い感じ、シャンプーするとき、腕やシャツからタバコの臭いがして、気持ち悪くなるみたいな。ディスカウントサロンの方がキレイだし、制服で感じがいいし、少しくらい下手でも、言えばヘアスタイルも直してくれるから、いいかなって感じ」

なぜ私服から制服になれないのだろうか

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 制服にするとその費用は経営者持ちというのが従来の考え方でした。確かに経営状態がひっ迫している現在では、店の出費はできるだけ抑えたいのが実状でしょう。でも、それによって顧客の評判を落とし、客離れの原因になれば話は別です。

 少し前に「原宿発 男性ファッション〜サロン系・ユルく重ね着〜源流は美容師・新興ブランドも」と、若者の間ではファッションとして「チョキチョキ」「ビダン」「サムライELO」などで美容師が読者モデル(読モ)をつとめるという記事がでました。

 また、女性美容師が「芸能人より身近な存在、サロンガール・街から生まれたスター」と「カリスマ読モ」と呼ばれる今では、雑誌社が取材合戦を繰り広げています。ここでは美容技術だけではなく格好よさも売り物。これでは制服を着るムードは全く生まれない。

 ただし、これは同年代のオシャレな若い人たちといった客層による評価で、サロン顧客の主流である「いつまでも若くありたい。美しく老いたい」という中高年層には疑問なのです。

 一流と言われるサロンの美容師の服装は確かにオシャレな感じがします。同じジーパンでも擦り切れたものははかないし、1カ月に1度は洗濯して清潔を保つと聞きました。衣服も毎日変え、オシャレが制服なのです。また、センスの良い子だけしか採用しないとか。よく見かけるドブネズミみたいな、暗い格好の美容師とは違いがはっきりしています。

「汚い衣服は店が暗くなる」

 私がよく知るサロンの話ですが、2日間の改装の前に、1ヵ月前から2週間ばかり、「新しい店舗に何かお望みはありませんか?」をテーマにアンケートを実施したことがあります。集計結果は以下のようになりました。

1 従業員の汚い衣服は止めてほしい。店が暗くなる。

2 床を変えてほしい。従業員の靴音がカタカタ、コツコツうるさい。特にヘッドスパやフェイシャル、メイクをしているときに気になる。

3 わけの分からないうるさい音楽は止めてほしい。静かなクラシックが良い。

4 もっと自分たちのヘアに対する希望を聞いてほしい。鼻の先で聞いて仕事に入っているように思える。

5 帽子をかぶっている美容師もお金を払って帰るときくらいは帽子を取って「ありがとうございました」くらいは言って当たり前だと思う。

 上着は白のハイネックのシャツ、パンツは黒でスリムな感じの制服に切り替えました。制服代は経営者と従業員で折半。理由は制服のデザインは従業員任せだからです。

 靴は全員が歩いても音のしない物に変更。制服に合わないので、スニーカーは除外しました。

 BGMの選曲はお客さまのリクエストを中心にしました。(主体はクラシック)

 ヒアリング(傾聴)を徹底させ、お客さまの「ご不満」「お悩み」「お困り」をうかがい、問題解決することに徹底しました。ヒアリングノートを作り、お客さまの話を筆記して残し、問題解決するまで続け、そのノートはお客さまも持ち帰ることができ、自分の悩みや困っていることを、書き込んで持って来ることもできるそうです。

 店内から帽子やスカーフ、無精ヒゲ、へそ出しルック、品の無い厚化粧、鼻ピアスや、唇ピアス、タトゥーがなくなり、シャンプーのときに爪が当たって痛がるお客さまもいるので、指以上に爪を伸ばさない。タバコは止める。もし吸ったら衣服をはらい、手を洗い、歯磨きをする。

 これを全員で決めて、改装を転機に接客を改善したそうです。改装から1年経ち、売上は改装前の2倍に増え、休眠客も戻り、評判を聞いた新規客も順調に入っている、よいことずくめのお話でした。制服に起因した接客の改革が、お客さまに受け入れられたのだと思います。

「身だしなみ」と「オシャレ」を履き違えています

 美容室でいう「身だしなみ」とは、営業時間中に作業がしやすく、お客さまの好感度も高く、清潔で品位のある格好だと考えます。

 1カ月以上も洗濯しない擦り切れたジーパンをはいて、その上、ヨレヨレのTシャツを着た美容師が、マイクロスコープを覗いて頭皮や毛髪のアドバイスをしても誰も本気にしません。必要なときには医者と同じ白衣を着てみたらどうでしょうか。必ず美容師の言い分を聞いてくれます。

 「馬子にも衣装・髪形」人間は見た目が大事ということです。「身だしなみ」はお客さまのためにあるものです。決められた条件の中でオシャレ感を持ち、好感、清潔、統一感、規律、仕事に対する真摯な気持ちが伝われば、お客さまの信頼をいただけるのではないでしょうか。

 このように美容師の「身だしなみ」の評価も料金のうちです。高料金体制をとるなら、サロンに立つ美容師の姿から整えなくてはなりません。不衛生なジーパンとTシャツでは低料金しか取れません。帝国ホテルの従業員がジーパンをはいてTシャツを着ていたら、あなたは一流のホテルと認めますか。

 「オシャレ」はプライベートな時間に楽しんで下さい。自分の思いのままの格好で結構です。でも、これにもその人の個性や品性が出ます。社会人としての自覚のもとにお楽しみ下さい。それが流行りだからと、ドブネズミみたいな格好でサロンに立つのは止めましょう。美容師全体のイメージが下がり、社会人として下層階級に見られます。

20対80の法則を営業に活用

 20対80の法則とは、自店の総客数の20%のお客さまで、売上の80%を稼ぐ計画です。先ずはお客さまの個人売上第1位の方から20%の方までを別枠にします。会員制ならゴールドカードに入る人たちです。この方たちは、「お金で自分を磨くことに惜しみなく投資するお客さま」です。従って毎日、週2〜3回、週1回は通ってこられるメニューを用意しなくてはなりません。

 最近のお客さまはワンストップショッピングがお好きです。美容室からエステ、ネイルと移動することを嫌がります。あなたのサロンで全て間に合えばそれがベストです。

 毎日通える多彩なメニューとは、今実施しているメニューに、ローラーセット、アイロンセット、カラ巻きセット(ドライセット)、アップ、フェイシャル、ネイル、メイク、眉カット、ヘッドスパ、ハンド&フットケアなどがあります。

 例えばメイクを縦型にすると、リメイク(シャンプーで落ちたメイクを直す・サービスとしてサロンでメイクをする癖をつける)3分間。そこから、ポイントメイク・10分間、ナチュラルメイク・10分間、お出かけメイク・15分間、メイク指導・30分間—など。料金は10分間1500円程度でどうでしょうか。

 多メニューに関して、現在50〜60代の美容師の皆さんは、誰でもその技術を持っています。最近売上を伸ばしているのは中高年顧客対象の中高年美容師のいるサロンです。ベテラン美容師による客単価アップを20対80の法則で実現してみてはいかがでしょうか。

 今回は高料金をいただける服装と、多メニュー化による客単価アップが中心になりましたが、その他の項目をあげておきます。

○ 外から見たサロンのイメージは清潔で、提示している料金に見合っているのでしょうか。

○ 技術に関して、よいセンスのヘアスタイリストで、あなたもスタッフと共に働いていますか。

○ パーマヘア、ヘアカラーの見本になるような髪型で働いていますか。

○せっかく、まる見えに作ったサロンなのに、ブラインドを閉めっぱなしにしていませんか。

○あなたのサロンの売り物が店から分かりますか。店頭メッセージがありますか。

 あなたは改めてご自分のサロンを外から眺めてみて下さい。きっと何か気づくことがあります。

文/菊島延佶(オフィス キクシマ)

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