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美容師法は公衆衛生法であることを自覚していますか

衛生という概念を改めて見直しました

 少し前の話ですが、新聞に「全国各地の自治体で理美容店に洗髪設備の設置を義務付ける条例改正の動きが広がってきた」と掲載されていました。

 これは「洗髪などをはぶいたヘアカット専門店は衛生上の問題がある」との業界団体の主張に、この要望を受け入れるかたちで条例化を進める自治体が増えているそうです。

 これに対して低価格を武器にして成長してきたカット専門店は「事実上の出店規制」だと反発しましたが、すぐに多くの都道府県が「理容所及び美容所における衛生上の必要な措置として、新たに洗髪設備の設置を追加するため」の条例の一部を改正、検討する動きを見せました。

大都市圏の業界団体は動いているのでしょうか

 理容師法、美容師法は公衆衛生法だと美容学校の学生だった時に授業を受けました。それから40年たち「衛生」についての問題が再びクローズアップされ、洗髪設備設置の条例改正にまで発展するとは思いもよりませんでした。

 永年美容師でいて気がつかなかったことは、東京、大阪などの大都市圏ではシャンプー設備がなくてもカット専門店は開業できたということです。当然と思っていたことでも抜け道があったことを知りました。

まるで水戸黄門の世界です

 真面目にコツコツ働いていた小型サロンが、シャンプー設備のない大型組織のカット専門店に安売りという「いじめ」を受けていたように感じます。その小型店の集まりの業界団体が「衛生」という業界を守る法律で「敵討ち」しているように見えます。

 なにか、テレビドラマの「水戸黄門」みたいな感じがします。政商がバックの大商人、どこかの代議士も巻き込んでいるでしょう。それに反旗をひるがえす髪結床の親父たち。法律という印籠を持って裁くお役人様。なんとそっくりではありませんか。「カット師の免許をだせ」「理美容の垣根をはずせ」「鏡と椅子だけで営業させろ」「業務独占は規制緩和で名称独占にしろ・資格にかかわらずカットさせろ」などなど無理難題。

 規制緩和問題に加え、後継者問題、地方の理美容サロンの不足だの、確かに深刻な問題を抱えているところもありますが、どう理屈をつけても自分勝手な経営が見えみえです。安価に増設できる店舗や、カットだけしかできない人を安月給で使う、利益優先の施策がわかります。

美容室の「衛生」について真剣に考えて下さい

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1 衛生に関しては洗髪設備(シャンプー設備)の強化だけでは足りません。 まず働く美容師さんや理容師さんたちの服装から改めてください。あなたの今の服装でいくらのカット料金がいただけますか。あなたの着ているシャツはいつ洗濯しましたか。毎日洗われたものを着ていますか。ズボンはいつ洗いましたか。薄汚れたジーパンなんかはいていませんよね。

2 風邪をひいているのかクシャミをしている美容師さん。マスクぐらいは しましょうよ。新型インフルエンザの流行を記憶している方も多いでしょう。美容室が感染源では話にもなりません。狭い空間で商売をしているので、細心の注意が必要です。

3 風呂は毎日入っていますか。お客さまが逃げ回るくらいの香水を使っていた女性の美容師は、風呂嫌いで体臭を隠すために香水を振りまいていたと聞きました。衛生観念が生まれるわけもありません。風呂に入れば香水は不要です。

4 数年前、アタマジラミが大流行しました。当時、年間50万人も感染したそうです。美容室では頭を痒がる子が使用したタオルやクロス、預かったコート類から感染した話を聞きました。

 私たちの年代では小学生時代に、進駐軍にDDT(有機塩素系殺虫成分)を頭からまぶされた経験がありますから、シラミを知っていますが、今の美容師さんには経験がなく、教える必要があると思います。以前は東南アジアの旅行のお土産として、1990年以降のアタマジラミは欧米からの輸入品。格安旅行で2流、3流ホテルやモーテルなどに泊まると持ち帰ってくると聞きました。

 子連れ旅行のお土産で、帰国後すぐに小学校や塾、プールのロッカーなどで感染した話も聞きます。

5 美容業界の中にはエイズ予防活動をしている企業があります。以前にも肌に直接触れる刃物(顔そりレザー)を使用する理容、美容に感染の危険ありと、注意が喚起されましたが、首都圏の大型サロンがその活動に取り組んでいます。イメージ的に美容につながらないような気もしますが、活動には意義があります。業界全体で「そんなの関係ない」と言わないで、知らん顔しないで取り組むべきでしょう。

6 40年前を思いだすと、コームやブラシは一客ごとに消毒していました。私はクレゾール石けんの匂いが好きです。お客さまも「お宅は消毒したくしやブラシを使っているのね。安心して任せられる」などと信頼されたものです。
 そういえば、そういう話を聞かなくなりました。紫外線消毒器も使用していました。今も使っているのでしょうね。今は臭いのしない消毒剤がありますので便利です。ときには、落としたコームやブラシを平気で頭にもっていく美容師さんも見かけます。衛生とはほど遠い話のようです。

7 換気もろくにしないサロンの中をホウキで床を掃いている美容師を見かけます。毛くずなどは濡れていると掃いただけは取れませんし、小さな埃は舞い上がります。やはり電機掃除機を使用すべきでしょう。

 来店されたお客さまがサロンの空気を爽やかに感じたら、その美容室は好感度が高いでしょう。知り合いのサロンですが、店頭には花壇があり、四季の花が咲き乱れ、店内にも鉢植えの花が一杯。また、窓から見える範囲は花畑です。
 店内の空気は澄んで花の香りが楽しめ、目に優しく、いつもお客さまが一杯です。本当のビューティーサロンだと思います。

8 美容室の中で犬を飼ったり、猫を飼ったりしているところがあります。
 毛が散ったり、餌が転がっていたりで不衛生このうえなく感じます。ペットをかわいがるのは良いのですが、サロンに持ち込むのはどうかと思います。犬や猫が嫌いな方も多いし、毛によるアレルギーや動物による感染の危険性もありますから。

 シャンプー設備の設置から私流の衛生に話が飛びましたが、せっかく業界あげて衛生管理を充実させることが目的ならば、業界全体で衛生管理をもう一度見直してはいかがでしょうか。

文/菊島延佶(オフィス キクシマ)

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