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パーマ客を増やそうとして再勉強したサロンの足跡

 前回「なぜ、お客さまからパーマについてもっと聞かないのでしょうか」
に続きパーマ客を増やそうと勉強会を強化したサロンの2店目のお話です。

 経営者の話ではパーマ客数が少ないのでなんとか増やさないといけない。今、自店はカットとヘアカラーのお客さまの来店が減少しているので売り上げが伸びない。そこで今までは少なかったパーマを必死で頑張って増やしたいということでした。まずはお客さまの声をうかがうことになりました。

 店内のミーティングで「パーマをかけない理由をお客さまから直接うかがうか、アンケートでうかがうか」を検討した結果、お客さまと話す自信のない技術者が多く、「アンケートにご協力ください」くらいは言えるというので、葉書での無記名アンケートに決まりました。その結果は表をご覧ください。中にはパーマ客を増やすことに無関心なスタッフもいて、お客さまにろくな説明をしなかったこともあり(店長の後日談)、200名中21名のお客さまが無回答でした。そして経営者も私も驚いたのは、お客さまの声です。

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200人のお客さまに「3つのご不満を」を上げてもらった。

パーマをかけない理由は技術者が作っている!

 1位が「パーマをかけると髪が傷むと技術者に聞いたから」、2位は「カットだけでヘアスタイルが作れる」、3位は「ヘアカラーをしているから、パーマはかけない方が良いと言われた」、そして6位は「誰も勧めてくれない」でした。

 なんと、日頃、技術者がお客さまと交わしている会話が原因だったのです。この結果をみる限り、このサロンでのお客さまとのコミュニケーションのお粗末さ、見当違いの話題、技術者のパーマに対する知識のなさ、情熱のなさには唖然、ぼう然、がく然! 経営者も頭を抱えました。これではパーマ客が増えなくて「当たり前」だという事実が幹部にも分かりました。アンケートは大きな意義があったわけです。そこで、提案です。

美容師の目標は、お客さまに喜んでいただけること

 そのためには技術の充実はもちろん、お客さまのご希望を間違いなくうかがい(ヒヤリングでお悩み、ご不満、お困りをうかがう)、お客さまのご希望をかなえるための会話の充実、会話を裏付けるための知識と技術の充実を図ることが大切になります。
 まず、パーマをかけると髪が傷むと考えているスタッフに認識を改めてもらうことが急務です。そこでパーマを勉強してもらいました。その一部をご紹介します。

パーマの基本をもっと知ること

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1.本当にパーマは髪を傷めるのか。ヘアカラー剤と比べてどうか。
 ウエーブ剤の場合は還元して酸化させるわけですから、1剤、2剤の使用を間違えなければ、ヘアカラー剤のように髪を傷めないと考えられます。初めて髪にパーマやカラーをするバージンへアに施術するとして、パーマでの髪の損傷を1とすれば、ヘアカラーは5〜6位の差があるはずです。毛髪を使って全員で実験を繰り返しました。その結果、パーマでは毛髪はさほど傷まないことが分かりました。

2.ウエーブを作る還元剤の代表的なものは6種類ありますが、全部使用した経験はありますか。
1- チオグリコール酸アンモニウム (医薬部外品/薬剤は酸性からアルカリまであり、還元力は一番強い)
2- システイン(医薬部外品/薬剤は酸性からアルカリまで。但しほとんどがアルカリ。還元力はチオグリコール酸を100とすると70〜80位。ヘアカラー毛、損傷毛に使用されることが多い)
3- サルファイト・亜硫酸塩(化粧品/アルカリ性で使用することが多い。還元力はチオグリコール酸を100として30位。重ねてヘアカラーをした髪、ひどく損傷した髪に使用。なめらかで、しなやかなカールがかかる)
4- システアミン(化粧品/酸性でもアルカリでもかかる。酸性使用のメーカーが多い。ウエーブを作るチオール基とアミノ基を持つ。従って使用後の髪のカサツキ、バサツキがなくなる。還元力はチオグリコール酸を100とすると30〜40位)
5- チオグリセリン(化粧品/酸性の商品を使用するサロンが多い。還元力はチオグリコール酸を100とすると30〜40位。損傷毛に使用)
6- ラクトンチオール・スピエラ(化粧品/酸性で使用するところが多い。還元力はチオグリコール酸を100とすると50位だが、加温するともう少し還元力は上る。損傷毛に使用)

 これらの製品を集めて、最初はモデルウイッグで試験して手触り、かかりあがり、ロッドの太さによるカールやウエーブの出方、それをブローしての持ち具合などの追求を行い、次は相モデル実習で、それぞれの希望が満足できるかどうかなどを、全員で体感したのです。その結果次のテーマを決めました。

テーマはかける、伸ばすだけのパーマからの脱却

3.パーマはかけるためと、伸ばすだけのものか?
1- かけるパーマと伸ばすパーマ(現在どこのサロンでもあるメニューです)
2- トリートメントするパーマ(髪質を整える、髪を保護して損傷を防止する。化粧品使用のカール、ウエーブ剤を使用しているサロンが多い)
3- 髪質を変える(硬い髪を柔らかにする。バサバサ、カサカサの髪を扱いやすくする。髪にボリュームを作る—など。化粧品のカールの範囲)
4- 発毛促進する(パーマの還元作用、酸化作用を利用して皮脂腺学説を実行。適度にパーマをかけることで発毛促進するという、稲葉益己著・「ハゲは治る」毎日新聞社刊)を実施しているサロンがあります。

 今までのパーマはあまりにも単純すぎて、還元剤と酸化剤の広い応用範囲を狭くしていたことに気づいて欲しいのです。これらのパーマの基礎的な技術と知識を身につけて、初めてプロと言えるのではないでしょうか。新メニューはここから生まれます。

ワインディングを再勉強

 20〜30ミリのロッドを使うとかかりが悪いのは、ワインディングの仕方に問題があります。30〜40年前にワインディングの教育を受けた技術者はお分かりでしょうが、毛束を巻くときに、ペーパーを毛先に置いて、そのまま巻くのが最近の技術者の傾向(美容学校で指導されている)です。
 それでは、毛束のテンション(伸長力)が不足して毛先にしかパーマはかかりません。ペーパーは根元に置いて、毛先に引いてから巻かないと根元はかかりません。
 こうすれば、20〜30本のロッドでスタイリング自由のパーマに仕上がります。たかがワインディング、されどワインディングです。

会話の充実を取り組んで

 「パーマをかけると髪が傷む」「ヘアカラー毛にパーマは必要ない」「カットだけで充分」などと口が裂けても言わないことです。言えば無知を丸だしにすることになります。髪が良くなるウエーブ剤の選択能力がなく、技術を知らず、効果を知らなかった自分の落ち度です。「パーマでお客さまを喜ばせる」ことができなかったことを反省するのが先です。

 ですから、お客さまに素直に謝ることから始めました。
「今まで勉強不足でした。今パーマ再勉強中です。髪質が良くなるカール剤がありましたので、今度お知らせしますのでお試しください」
「最近開発されたカール剤で髪をトリートメントするものがありました。今勉強中です」
「今勉強しているのですが、パーマをすることで発毛促進するという学説があるそうです。私も知らなかったのですが」
—などなど。カール、ウエーブの話題をお客さまと積み重ねることにしました。幹部の技術者は経験やお客さまとの対話力があり、少しずつお客さまが増えました。ところが、若い技術者は話が聞いてもらえず「あなたは髪が傷むと言ったじゃない」というお客さまの反発からいまだに抜けられません。じっくり構えて信頼回復に務めていますと、報告がありました。

 自分はパーマを本当に理解しているのだろうか、もう一度かえりみてください。そして、お客さまのご希望は何か。「お悩み」「お困り」「ご不満」を時間をかけてじっくりうかがう。ここが一番肝心なところです。お客さまが「喜んでくださる」そんな美容師、美容室を目指して頑張りましょう。

文/菊島延佶(オフィス キクシマ)

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