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お客さまに分かりやすいメニューを作る

 ある美容室にうかがいましたら、経営者さんとスタッフが一生懸命額を合わせて考え込んでいました。「何をそんなに恐い顔をして考え込んでいるのですか?」との問いに、「このチラシは彼女がよく通っているネイルハウスのものなんだけど、見て。ネイルだけで20メニュー以上ある。ハンドケアとフットケア、ヘッドスパを入れると30メニューだぜ。それも一つひとつ技術内容が解説してある。うちの店のメニューがいかにいいかげんか思い知らされた感じがするよ。何か良い方法はないか皆で考えているんだ」。

 そこで、こちらの美容室の外から見えるメニューを拝見すると、カット¥○○○○〜、パーマ¥○○○○〜、カラー¥○○○○〜と非常に単純なものでしたから、「他のメニューはありませんか」の質問に、指さされたのはフロントの後ろにある料金表だけです。そこで質問と提案です。

1・ここにカット¥○○○○〜と書いてありますが、カットは全部この値段ですか?

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 「違いますよ。前髪だけというお客さまもいるし、逆に襟足だけもあるし、大人と学生は違うし、子ども料金もある。シャンプーはいらないという方もいるし…」。
「それはどこで分かりますか?」。
「来店されれば分かりますよ」。
「それではダメです。全部書きだしてお客さまにお渡ししたり、科目ごとに1カ月ごとに外に貼りだせば分かりやすいでしょう」。
ネイルハウスのチラシではありませんが、できる仕事をお客さまに知らせる必要があります。店頭のパソコンは飾りですか。カットやパーマ、カラーやシャンプーの細かいメニューを打ちだしてください。まず来店されるお客さまにご覧いただくことから始めましょう。改めてメニューがたくさんあることを知って、お客さまもきっと見直してくれるのではないでしょうか。

メニューにして、お客さまのチョイスの幅を広げる

2・表に出ているメニューで一番得意なのは何でしょうか?

 経営者さんは「カットですね」。スタッフのAさんは「メイクよ」、スタッフのBさんは「私もカットです」とのこと。でしたら得意な科目からメニューを作りましょう。カットを20ばかりメニュー化しましょう。例えば経営者とBさんはキャリアが違いますから、料金やメニューも違って当たり前でしょう、それが一つ。後は分かりやすい名前を考えましょう。例えば「前髪カット・気になる目をパッチリさせる」「まゆ毛のあたりでパッツンカット・若返りのオシャレ」「気になる部分の手直しカット」「10歳若返るオシャレカット・シワ隠れてイキイキ」「長さを揃える調整カット」「プッツンブラントカット」「ボブカット・長さはいろいろ」などなど。それに学生や子ども料金も入れてみましょう。

 メイクでしたら「リメイク・化粧直し」「ポイントメイク」「ナチュラルメイク」「お出かけメイク」「冠婚葬祭メイク」「パーティーメイク」などなど。

 特にお年寄りには、若返りのメイクやフェイシャルメニューをお勧めしましょう。

お客さまが望んでいるものをメニューに

3・美容師にとって重要な仕事はお客さまに似あうヘアデザインを考えることです。それを売るメニューはありますか?

「頭のなかにはあるけどね」と経営者さん。前に1000円カットの店を利用したことがありますが、腰かけたらすぐに「何センチ切りますか?」「どのくらい切りましょうか?」と聞かれました。「あなたに任せる」と言いましたら、「それは困ります」とのこと。これでは高いお金は取れません。「思いきってヘアチェンジするカット」「あなたにぴったりのスタイルを探すカット」「ボリュームを出すパーマやセット」「大人っぽくアップヘアにしよう」「トップのボリュームを出すパーマ」など。

 ヘアデザインを提案するメニューが必要です。まず、予約が入ったらその時に「その方が似あうヘアデザイン」を用意しないといけませんね。

4・お客さまから「こういうメニューはないの?」と聞かれることはないでしょうか?

 スタッフのAさんが「あるある。パーマをかけている間にフェイシャルができるといいねとか、ネイルができればいいねとか、シャンプーのときに、もう少し長く肩のマッサージがあるといいね。なんて言われるのはしょっちゅうです。今、私はネイルハウスにいっているんですけど、ネイル教室があれば通いたいと思っている、とかも」。

 そこがビジネスチャンスですよ。お客さまが望んでいることをメニュー化する。すぐに実行にかかってください。できることからやるが基本です。鉄は熱いうちに打て、です。

できるメニューからはじめできない理由を探さない

5・経営者さんは「フェイシャルやネイルを始めると、器具や間仕切りのために投資が必要ではないか?」と考えていませんか?

 「それでなくても狭いのにフェイシャルルームなんて取れないよ。ネイルなら、今のままでできないことはないけど」とのこと。設備投資をしても、いつ回収できるか分からない時代です。現状でできるメニューから始めましょう。フェイシャルやヘッドスパならシャンプー椅子で充分です。メイクや簡単なフェイシャルはセット椅子を工夫すれば、肩に楽をさせ、顔を上向かせることができます。できない理由を探さないでください。

6・お客さまを若い人だけとか、お年寄りだけとか絞っていますか?

「それはできません。私たちはオープンの際から、ご紹介中心でファミリーに利用されてきましたから年齢層も広いですし、男性もみえます」。それならファミリー料金もメニューに入れなくてはなりません。家族で共通に使えるポイントカード(自家製がよい)やキッズメニューやペアメニュー(親子や、ご老人がお孫さんを連れてきたら別料金)、パーマのボトルキープメニュー(5人用を先売りする)、シャンプー&トリートメントをボトルキープする、ヘッドスパメニューなど工夫すると良いでしょう。

美容教室を開くのもお客さまのニーズ

7・美容師にしかできない仕事ですがお客さまにカットやメイクの技術指導をしていますか?

「お客さまにアドバイスすることはありますが、指導となると何をしたら良いんでしょうね」。新聞の文化センターの紹介欄によく出ています。美容関係で一般の方のための教室には、「簡単なアレンジ」「子どものカット・ご主人のカット」「初級〜修了証までのヘッドスパ」「眉メイクレッスン」「ぱっちり目アイメイク」「顔筋マッサージ」「大人のナチュラルメイク」など、たくさんの教室が開かれています。この教室の利用には会費と教材費が必要です。美容室でお客さまに予約をいただき、料金を決めてレッスンを積極的に行なっても良いでしょう。これを放棄すると、ますますお客さまは美容室離れしていきそうです。

30〜40年前の美容室は顧客の一生をサポート

8・お客さまを一生サポートできる美容室を目指していますか?

スタッフのBさんは「お客さまの一生のサポートってどんなことですか?」。ここのサロンでも関わっていると思いますよ。普段の生活のヘアスタイルは当たり前ですが、七五三から卒業式、成人式、ブライダル、冠婚葬祭ヘア、それらのフェイシャルから着付などです。30〜40年前は美容室で当たり前にできていたことが、職業が細分化されて、七五三の着付を写真館が請け負い、卒業式や成人式の着付は貸衣装業が受け持ち、ブライダルはヘアもエステも式場のサロンと、さんざんです。

 もっと積極的に美容室から出た文化を取り戻しましょう。うちのサロンではメニュー化は無理、この料金ではこのあたりでは無理などと、無理な理由を探していては何もできません。もっと自分の専門技術と専門知識を信じて、お客さまがご希望されるメニューづくりに邁進しましょう。明日が素晴らしい日々でありますように。

文/菊島延佶(オフィス キクシマ)

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