美容師が知っておきたい保険の話

第1回 サロンに必要な保険の基礎知識

「おしゃれ」や「流行」に常に先見の明がある美容業界において、特に労務問題については、時代に反映できていないケースが数多く見受けられます。今回からサロン、そしてスタッフに関わる労務問題のうち、サロンとして加入しなければならない公的な保険について、様々な角度から加入に向けた取り組みについてお話していきます。

まず、サロンとして加入しなければならない公的な保険は、「労働保険」と「社会保険」の2つがあります。「保険」という言葉が付いていることからも、何か起きたときに加入している効力が発生することがほとんどですので、この2つの保険がいざというときにサロンを守るために役に立ちます。しかし、この公的な保険に未加入のサロンが多々あるのが現状です。この2つの保険のメリットを説明し、加入をお勧めしていきたいと思います。

美容室の写真

前述の2つの公的な保険のうち、労働保険とは、「労災保険」と「雇用保険」のことを指します。スタッフがサロン内でケガをしたときの治療費や、その際に仕事を休んだときの所得補償などはサロン、オーナーに補償義務があります。これらの補償に対して必要な保険給付を行うのが労災保険です。さらに自宅とサロン間の通勤中に同様のことが起きた場合も同じように、サロンに補償義務が発生するのですが、サロンでは通勤中のほうがこの労災保険を使うことが多く、未加入のリスクは高いと言えるでしょう。

一方、雇用保険ですが、スタッフが失業した場合に所得を補償するために一定期間支給されるだけでなく、育児休業・介護休業を取得したときにもこの雇用保険から支給されます。要するに雇用保険に加入していないと、これらの給付を受けることはできないのです。

次に、社会保険とは「健康保険」と「厚生年金保険」のことを指します。日本では、すべての国民が健康保険や国民健康保険といった公的な医療保険制度に加入し、いつでも必要な医療を受けることができる『国民皆保険制度』が採用されており、どこかの保険に加入しなければならないことになっています。病院などに行くと提出する「保険証」が加入している証明です。

また、20歳から60歳までは年金に加入することが義務になっており、「国民年金」や「厚生年金」等に加入しなければなりません。これを同様に『国民皆年金制度』と呼ばれています。

社会保険に未加入のサロンでは、通常はこうした健康保険・年金にスタッフ個々が加入し、納付をすることになります。そしてその内の多くの方が、市区町村の「国民健康保険」や「国民年金」に加入しているかと思います。ですので、サロンとしてはまったく関与せず、払う・払わないは本人の自由になります。一方、社会保険に加入すると、こういった健康保険・年金の保険料をサロンがスタッフの分を毎月の給与から控除し、まとめて納付することになります。サロンが個々のスタッフの分を責任持って管理し、納付することになるのです。

ここまで各保険の種類についてお話してきましたが、すべてのサロン・スタッフが労働保険・社会保険に加入しなければならないわけではありません。サロンでも法人であれば社会保険は強制加入になりますが、個人事業ですと任意での加入となります。また、スタッフでもある一定の要件を満たしていなければ、加入したくてもできないケースもあります。このように個々のサロンによって加入に向けた取り組みは異なっていきます。詳しい加入要件については次回お話させて頂きます。

次へ「第2回 各保険に入る為に必要な『加入要件』という条件」>>

社会保険労務士 福島継志さんの写真

著者プロフィール

税理士法人 西川会計 理美容事業部
社会保険労務士 福島 継志

大学卒業後、自動車販売の営業を6年半携わり、資格取得後、社会保険労務士に。
個々の美容室の実情に合わせた人事労務管理と助成金を主に手掛ける。「美容業界では人の問題が多数起こります。そんな問題の解決をお手伝いさせて頂きます。」

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