美容師が知っておきたい保険の話

第3回 労働保険(労災保険・雇用保険)加入で得られる、オーナーのメリット

今回は、労働保険(労災保険・雇用保険)に加入したときのオーナーのメリットをお話します。

そもそも、この「労働保険」は、オーナーは保険料を払うのみで事故が起こった時の給付は一部の例外を除いて受けられないので、メリットはスタッフにあり、オーナーにはありません。唯一、雇用保険に加入していれば助成金がもらえますが、同時に社会保険にも加入していなければならない助成金も多いので、費用対効果を考えるとメリットは少なくなります。むしろ、費用対効果を度外視した「スタッフ」を守ることが最大のメリットといえます。

ではその「メリット」について各保険ごとに見ていきましょう。

美容室の写真

労災保険では業務中、通勤中による怪我や病気、障害、死亡等に対して支給されますが、これらの給付を本来支払わなければならないのはサロンであり、その代わりを労災保険でまかなっています。加入していることによって、スタッフは前述した怪我等で病院に行っても診察代を一切払うことはなく、サロンとしてもどんなに高額でも負担はありません。また、労働安全衛生法という法律で、サロンはスタッフに対し、1年に1回健康診断を受診させる義務がありますが、その健康診断で血圧検査、血液検査等で異常の所見があると診断されたとき(一定の要件があります)にさらに医師による診断を労災保険から受けることができます。

次に雇用保険です。多くの方が、サロンを退職したときに再就職先が決まるまで受給できる失業給付を頭に浮かべるでしょう。スタッフからすると、他にも育児・介護の際に休業したときの所得補償としての給付や、あまり知られていませんが、資格等を取得する際の教育訓練の受講料の一部が雇用保険から支給される場合もあります。一方、サロンのメリットとしては、一定の要件で助成金が支給されるということがあります。この助成金はかなりの種類、数があり、対象となるスタッフも当然雇用保険へ加入している必要があります。

本来、スタッフがいるサロンでは労働保険に加入しなければならないのですが、現実は全てのサロンが加入しているわけではありません。未加入のサロンからは「何も起きないから」「払うお金がないから」という声が多く聞かれます。しかし、何か起きる前に入るのが保険です。お金がないから加入しないのではなく、お金がないからこそいざというときのために加入する。実はこのことが労働保険に加入する一番のメリットではないかと私は考えます。

次回は社会保険に加入したときのメリットについてお話します。

社会保険労務士 福島継志さんの写真

著者プロフィール

税理士法人 西川会計 理美容事業部
社会保険労務士 福島 継志

大学卒業後、自動車販売の営業を6年半携わり、資格取得後、社会保険労務士に。
個々の美容室の実情に合わせた人事労務管理と助成金を主に手掛ける。「美容業界では人の問題が多数起こります。そんな問題の解決をお手伝いさせて頂きます。」

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